九重雜賀

 

世界に誇る「和食」を支える赤酢と日本酒を共に醸す蔵元

 

「お寿司の発祥地」といわれ、一世帯あたりの食酢の消費量が全国トップクラスの和歌山県で、和歌山、そして日本の「食酢文化」と共に歩んで百有余年。

 

赤酢と日本酒をともに醸す日本でも珍しい蔵元です。

 

酒米を育て、日本酒を醸し、その酒粕を大木桶に仕込んで赤酢を醸す。

 

寿司、酢の物など、世界に誇る「日本料理」に合う赤酢、日本酒を醸しております。

新 木桶蔵3(リサイズ).jpg



 

 

社長と女将(写真差し替え).jpg

 

代表取締役社長 雜賀 俊光さん(左)


若女将 雜賀 桂さん(右)
文学部英米文学科 1994年卒業


(企業情報)
HP:https://www.kokonoesaika.co.jp
〒649-6122 

和歌山県紀の川市桃山町元142-1
TEL: 0736-66-3160

営業時間:8:30~17:30

(土日、祝日、年末年始、夏季休暇、当社指定休日を除く)

【雜賀 桂さんに伺いました】
玉川での学びについて

Q.玉川学園に入学された動機(学問分野への興味・なぜ玉川か)をお聞かせください。
A.大学受験で、玉川だけ合格をいただけたから、というのが正直なところなのですが、志望校に選んだのは、一般的な大学ではない「全人教育」という、学部の専門だけに特化しない、道徳や芸術も含め、総合的な人間性を大事にしてくださる学校の雰囲気が興味深く、素敵だったからです。
Q.どのような学生でしたか? 学ばれた内容や打ちこんだことなど、思い出をお聞かせください。
A.当時はフォトジャーナリストを目指していたので、早く現場修行をしたかった私は、お恥ずかしいのですが、勉強そこそこに、一緒に暮らす兄妹の食事などの世話をしつつ、他大学の写真部に入り、薬害エイズ訴訟の支援活動、そこからフォトジャーナリストのアシスタントとなり、忙しい毎日でした。でも、卒業論文では、スイフトのガリバー旅行記を題材にしたユートピアの世界を発表すると、先生にとても喜んでいただき、発表会に出させていただく機会をいただいたことが忘れられません。・・・発表は時間配分などまったくできずに、大失敗してしまったのですが。
Q.学生生活の中であなたが『玉川らしさ』を感じた出来事をお聞かせください。
A.自然に囲まれた学校の中を教室から教室へ、距離がかなりあって、友人とともに「間に合わない~」とかけ足で行き来し、時にはゆっくりと散歩もして、歩いた時間が懐かしいです。第九の練習や、礼拝の時間の教会の静寂な明かり、空気はとても清らかで、せわしない自分の気持ちと向き合う大好きなひと時でした。今も、ボランティアで、熊野古道大辺路の道普請などをしていますが、「まず自分が率先して体を動かす」、その原点は、玉川での労作だったような気がします。

現在の仕事について
 

Q.現在の仕事を選ばれた動機をお聞かせください。
A.ふるさと和歌山で長らく記者や編集者をし、自分の居場所は「熊野」だと思って仕事をしていましたが、ある時、不本意な事情から、簡単に新聞社を辞めてしまいました。辞めてしまって気づいた「居場所」の喪失感。それでも自分でなにか作り続けないと生きていけない、と思いながら、フリーでもがいていた時、お見合いで主人と出会いました。

主人は、九重酢という和歌山では知らない人はいないほど馴染みのあるお酢の蔵元。お見合いしたときに、日本酒も造っており、その酒粕を熟成させて、さらに昔ながらに大木桶で赤酢を醸している、という蔵の様子を知りました。

私は38歳、主人も、傾いた会社をなんとか立て直してようやく普通の日常を取り戻した矢先のころで、主人の「うちの蔵は和歌山の、日本の食酢文化を育て、支えてきたんだ。それを絶やしてはならないんだ」という、ひじょうに熱い思いと、元プロボクサーだった主人の無垢で、信じた人は決して裏切らない人柄、私に言った「あなたの居場所はうちにある」という言葉など、後から思えば結婚を決めた理由はいろいろあります。嫁いでから知ったこともいろいろ、・・・猫の手も借りたい状況は今も変わりません(笑)。

日本酒も食酢も、古くからの日本の食文化、神事仏事、冠婚葬祭などに欠かせないものです。それは、自然からの恵みを菌類たちの手を借りて、人が寄り添って味わいを引き出し、そうして醸し出された賜物です。ながらく世界遺産にもなった熊野地方の野山を駆け回って、自然や人々の暮らしの中の宝物を見てきた私には、菌類が息づく九重雜賀という蔵の世界やスタッフの生活を守ろうとしている主人の必死さに心惹かれました。

なにより「ここには、私を必要としてくれている“居場所”がある」ということ。

そして、蔵に嫁いで来年2020年で、10年になります。
Q.現在の仕事内容についてお聞かせください。〔難しいこと・やりがい〕
A.蔵の若女将として、年間通じて来訪する国内外のお客様へおもてなし、商品の試食や、食事の用意。冬期半年は、日本酒造りの蔵人が住み込みなので、食事づくり。商品や商品イメージなどの撮影、ホームページやSNSなど担当、各種資料の作成など。私は料理の修行を積んだことはなかったのですが、新しい商品の開発や、商品をつかったさまざまな料理を仕込んで、来客にふるまわなければなりません。何年経っても未熟だと感じていますが、味の引継ぎは蔵の財産。毎日の食事作りも修行だと思って大切にしています。
Q.玉川で学んだことは、今の職場でどのように活かされていると思いますか?
A.玉川の先輩方とお会いする中で、共通して言えることは、どのような状況、職場、現状にあっても、その仕事を一生懸命にやること。おおらかで、誠実でいること。楽しむこと。・・・・を、心がけて生きていくことの大切さでしょうか。
Q.卒業後、玉川だからこその利点(人脈など)を感じることはありますか?
A.学生時代よりも、卒業してからの方が、玉川大学が母校であるということを、強く意識するようになったのが正直なところです。

毎夏に開かれる学友会に初めて参加したのは帰郷して、新聞社に入社したころだと思いますが、そこで、小学校時代の先生がおられてびっくりしました。その時から卒業生であることを意識し始めたように思います。

新聞記者時代、私が熊野の自然、照葉樹林文化の魅力とそこに生きる人々の暮らしをテーマに取材を重ねていたこともあり、玉川大学農学部出身の先輩方に取材先でお世話になってきました。平地の少ない和歌山県で、畜産を学んで牧場を営む先輩の苦労、森の豊かさの指標動物である土壌生物の研究をされている先生には、何度もお話を聞き感銘を受けてきました。

さらに、私が記者として赴任した古座川町は、狩猟採集文化の色濃く残る、今も私の理想郷と思える大好きな町です。

そこで私は、取材兼ねて、ゴーラによる二ホンミツバチで採蜜する古老に弟子入りしていたのですが、その後、玉川大学出身で現在の県支部長、武田丈夫先輩が町長に選出されたことから、玉川大学のすばらしいミツバチ研究の先生方にもお会いでき、楽しく魅力的なお話、古座川町がいかにすばらしい地なのか、いろいろと教えていただきました。

蔵に嫁いでからは、今度は、学友会を通じて、玉川大学のさまざまな盛り上げる企画にお誘いいただき、まさか、大学の事務局のみなさまと、直接やり取りをさせていただくことになろうとは、学生時代には思いもしなかったことです。

今では、とても感謝しております。

私共の蔵で心をこめて育てている味が、今度は玉川大学を通じて知っていただけること。また、これまで出会う機会のなかった世界の方々と、食文化を軸に接点をもてること、これからもとても楽しみです。

商品について
 

Q.今回出品された商品の特長やこだわっている点などをお聞かせください。
A.「雜賀孫市 純米大吟醸」

弊蔵の祖先は、かつて大海原を見て夢を馳せ、戦国風雲を疾駆した武将、雜賀孫市率いる「雜賀衆」です。その頭領、孫市の名前を商品名にし、雜賀衆の心意気をこめた、弊社最高峰の純米大吟醸酒です。

デザインは山本寛斎氏率いる寛斎スーパースタジオが担当。

酒米の王様と云われている山田錦を29%まで精米し、華やかな香りと山田錦のお米の旨味を最大限に引き出しました。
 

 「雜賀孫市 大吟醸」

弊蔵の祖先である雜賀衆の頭領 雜賀孫市の名前を商品名にし、大海原を見て夢を馳せ、戦国風雲の中を疾駆した雑賀衆の心意気をこの日本酒で表現しました。

酒米の王様と云われている山田錦を40%まで精米した大吟醸酒です。

華やかな香りと山田錦のお米の旨味そしてキレが特長のバランスの良いお酒です。


 「赤酢・調味料 150ml詰合せ」

日本野菜ソムリエ協会主催『調味料選手権』で、最優秀賞や入賞を獲得した、赤酢と調味酢の詰め合わせです。すべて着色料、保存料、化学調味料、エキス分無添加の、安心、美味しい便利なお酢のセットです。

・山田錦純米大吟醸の酒粕100%使用 木桶仕込み赤酢「雑賀 吟醸赤酢」(同選手権 伝統調味料部門 入賞)

・赤酢のすし酢「雑賀 吟醸赤酢のすし酢」(同選手権 入賞)

・柚子の皮入りすし酢「雑賀 柚子 寿司召し酢」(同選手権 ごはんのおとも部門 最優秀賞受賞)

・万能だし酢「雑賀 万能調味酢(だし酢) お手間とらせ酢」(同選手権 万能調味料部門 最優秀賞受賞)

・すだちだし入りぽん酢「雑賀 すだち だし入りぽん酢 海ぽん山ぽん」(同選手権 お酒に合う調味料部門 入賞)

・柚子の皮入りドレッシング「雑賀 柚子ドレッシング」

どの商品にも全て弊社で醸した食酢を使用し、だしも自家製です。

すべての商品の首掛は、ユニバーサルデザイン(点字印刷入り)仕様です。

Q.商品完成までのご苦労などについてお聞かせください。
A.すべての商品において、自分の子供が口にする(お酒は成人になってから)ことを前提に、安心、美味しい商品づくりにお客様目線で取り組んでおります。すべての商品が、保存料、着色料、化学調味料、エキス分無添加です。
Q.今後の目標・夢についてお聞かせください。
A.和歌山県は一世帯当たりの食酢の使用量が日本でもトップクラス。「お寿司の発祥の地」といわれております。

弊社はこの和歌山県で日本の食酢文化と共に歩んで百有余年、日本酒と赤酢を共に醸す、日本でも大変めずらしい蔵元です。

日本食を代表する「お寿司」と共に、弊社の醸す赤酢、日本酒そして梅酒を全世界でご利用頂くのが弊社の目標です。

同窓生にメッセージ
 

Q.玉川っ子へメッセージをお願いします。
A.私も学生だった時は、これからはじまる社会人としての本番の人生がどうなるのか想像できずに突っ走ってきました。

みなさんも、これから人生の中で出会う、人とのご縁にきっと助けられることがあるはず。そんな中で、「玉川の出身ですよ」と聞いて、学部はまったく違っても、ホッとしたり、妙にうれしくて話がはずむことがきっとあるはずです。そんなとき、在学中にもっと、しっかりと学校の空気を吸っておけばよかったと、私は何度も思いました。

学内には、いろんな研究をされているすばらしい先生方がおられます。卒業してから、それを体感しました。

もし興味があるならば、学部を飛び出してそうした先生に会いに行ってみるのも、在学生の特権かもしれません。私も、そうしておけばよかったなあ、と卒業してから思いました。